腸の健康づくり12 増殖環境を整えるプレバイオティクス

腸内環境を整えるための、もう一つの方法として注目されているのはプレバイオティクスです。これはプロバイオティクスが働きやすい環境に整える役目をするもので、糖質や乳製品などといった善玉菌のエサや食物繊維などが、それに当たります。

ビフィズス菌を増やすものとして知られているのはオリゴ糖です。オリゴ糖には、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルオリゴ糖、ラフィニース、ラクチュロース、コーヒー豆マンノオリゴ糖、グルコン酸などがあります。

こういったプレバイオティクスを摂ることによって、乳酸菌の増殖が促進された結果、腸の状態をよくする整腸作用、腸壁からのミネラル吸収促進作用、炎症性腸疾患の予防・改善作用など有益な効果が認められています。

食物繊維は、人間の体の中の酵素では消化されない食物成分のことで、消化されないために吸収もされず、ほとんど形を変えずに大腸まで届き、腸壁を刺激しながら排泄されます。

植物性の食物繊維には不溶性と水溶性があります。

不溶性食物繊維は水に溶けないタイプの食物繊維で、穀類、イモ類、野菜に含まれているセルロース、ヘルセミロース、リグニンなどがあり、硬くて、ボソボソした食感が特徴です。

もう一つの水溶性食物繊維は水に溶けるタイプの食物繊維で、胃の中でドロドロに溶けたゲル状になって余分な脂肪や糖質を包み込みます。包み込まれたものは吸収されずに排泄されます。

また、ゲル状になった水溶性食物繊維は、胃から小腸にゆっくり運ばれるために、糖質がゆっくりと運ばれ、糖質に含まれるブドウ糖もゆっくりと運ばれるために、血糖値が上昇しにくくなっています。これが水溶性食物繊維のダイエット効果につながります。

この水溶性食物繊維が含まれるのはコンブやワカメなどの海藻類、キノコのほか、果物に含まれるペクチンがあります。

以前は、コンニャクも水溶性食物繊維に分類されてきましたが、凝固剤によってコンニャク粉を固めたあとには変化をしないので、水溶性食物繊維ではなく、今では不溶性食物繊維の扱いとなっています。

不溶性食物繊維には便を硬くする作用があり、水溶性食物繊維には便を軟らかくする作用があります。不溶性食物繊維を増やしすぎると、かえって便通が悪くなることもあるので、水溶性食物繊維も同時に摂るようにしたいものです。

水溶性食物繊維は水分を吸って3~5倍にも膨らみ、発酵を進める作用もあって便量を増やし、便を軟らかくして便通をよくしてくれます。さらに、水溶性食物繊維には腸内の有害物質や食事で摂った余分な脂肪などを包み込んで一緒に運び去り、排泄するという働きもあります。

水溶性食物繊維というと、水に溶ける性質があるので、分解されるという印象が抱かれがちですが、水に溶けてゲル状になったとしても、分解されるわけでもなく、それ以上に変化をするわけではありません、

これは植物性の食物繊維だけでなく、三重螺旋構造のコラーゲン繊維のように、動物性の食物繊維でも、繊維の形状では消化もされず、吸収もされないのは同じことです。

プロバイオティクスとなる乳酸菌などを摂るのと、プレバイオティクスを摂るのと、どちらが効果的かという議論もありますが、より腸内環境を整えるためには、両方を一緒に摂るほうが有効だということは当然に考えられることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕