“ガチ中華”という言葉があります。2022年の新語・流行語大賞にノミネートされた比較的新しい表現で、日本人が好む味付けに調整されていない本場中国の味が楽しめる料理もしくは提供する店舗を指しています。
これは以前は「中国料理」と呼ばれて、中華料理との違いを表そうとしていましたが、中国と中華の使い分けがわからない人が多いこともあって、混同されていたところがありました。
ガチ中華に対して使われているのは“町中華”で、いわゆる中華料理のことです。中華料理は、あくまでも日本で発展した“中国風”料理であって、中国には中華料理は存在していません。
ガチ中華(=中国料理)は、中国からの訪日観光客が増えたことから多くなってきたと言われていますが、日本に住んでいる中国人、中国系の人は以前から多く存在していて、中国系社会では当たり前の存在でした。
それと同じことで、先に「中国には中華料理は存在していない」という書き方をしたものの、実際には日本人が好む味付けの料理店がないわけではありません。広く知られているのか、ブームになるほど利用者が増えているのかというと、そうではないだけのことです。
味付けだけの違いではなくて、素材も違っていて、中でも大きな違いとして言われるのは麺の違いです。中国料理の麺の多くは、軟らかくて、色も白くなっています。日本の中華料理の麺には、かん水(アルカリ塩水溶液)が使われていて、これが小麦粉のグルテンに作用して弾力性やコシを出して、色も黄色味を帯びています。
ガチ中華であっても、日本人には麺を中国料理用ではなくて、中華料理用を提供しているところも増えてきています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕