食事摂取基準39 今後の課題の概要

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、今後の課題の概要について説明しています。

〔概要〕
食事摂取基準は、国民の健康の保持・増進、生活習慣病などの予防(発症予防)を目的として策定され、個人にも集団にも用いるものです。また、生活習慣病などの重症化予防に当たっても参照すべきものです。

食事摂取基準で示されるエネルギーと栄養素の基準は、次の6つから構成されています。エネルギーの指標はBMI、栄養素の指標は推定平均必要量、推奨量、目安量、目標量、耐容上限量です。

なお、生活習慣病の重症化予防を目的として摂取量の基準を設定する必要のある栄養素については、発症予防を目的とした量(目標量)とは区別して示されています。

各指標の定義と注意点はすべて総論で述べられているため、これらを熟知した上で各論を理解し、活用することが重要です。

目標量の設定で対象とした生活習慣病は、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病です。同じ指標であっても、栄養素の間で、その設定方法と活用方法が異なる場合があるので注意を要します。

食事摂取基準で示される摂取量は、すべて性・年齢区分それぞれにおける参照体位を想定した値です。参照体位と大きく異なる体位を持つ個人または集団に用いる場合には注意を要します。

また、栄養素については、身体活動レベル「ふつう」を想定した値です。この身体活動レベルと大きく異なる身体活動レベルを持つ個人または集団に用いる場合には注意を要します。

食事摂取基準で示される摂取量は、すべて習慣的な摂取量です。原則として、1皿、1食、1日、数日間などの短期間での管理を前提としたものではないため、これらに用いる場合には注意を要します。

食事摂取基準の活用に当たっては、食事調査によって習慣的な摂取量を把握し、食事摂取基準で示されている各指標の値と比較することが勧められています。

なお、エネルギーはエネルギー摂取量ではなく、BMIと体重の変化を用いることが勧められています。また、食事調査は、それぞれの長所・短所を十分に理解した上で用いることが重要です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕