話しすぎの人のことを「口数が減らない」と言うことがあるのですが、これは誤用で、正しい使い方は「口が減らない」です。口が減らないというのは、軽々しく話すこと、秘密を守ることができないことを意味しています。
「口が減らない」という言葉には、批判的な意味合いがあり、単によく話す人(話し上手)、他の人よりも話が長い人という意味では使われていません。
また、「口が減らない」には、道理では負けていても、なおも理屈を並べ立てること、負け惜しみを言う人という意味もあります。口を閉ざしたら負けだとばかりに、勝手なことを遠慮なく喋り続けることも指しています。
そのようなことだけは言われたくないところですが、世間には「口が減らない」人は多く存在しています。
「口数が減らない」というのは、先に示した「口が減らない」と「口数が少ない」との混同だと考えられています。口数が少ないというのは、ほとんど話さない、言葉数が少ないことを指しています。
もう一つ、口がつく言葉で、よく使われるものとして「口を濁す」があげられます。これも誤用で、正しくは「言葉を濁す」です。
「口を濁す」は、言葉をはっきりと言わずに、ぼかしたり、曖昧にしたりすることを意味すると説明されることもあって、確定用語を使わずに、不確定用語(と思われる、だろう、おそらくなど)を連発するようなときに使われています。
それだけ口を濁すと感じられるような人が増えてきたということかもしれませんが、これは誤用です。濁すは、よどんで濁った状態を指す言葉であるので、口そのものが濁った状態というのは、口が汚れている、息が臭いという状態のほうが合っています。
あくまでも濁すのは、口から発せられる言葉であって、どう考えても「言葉を濁す」なのですが、ネット情報などでは平気で「口を濁す」の意味として、「言葉を濁す」の説明が使われているところもあるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕