肝機能の基礎知識2 肝機能検査の意味

肝機能検査では、GOT(AST)、GPT(ALT)、γ‐GTPが主に確認されます。

GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミラーゼ)、GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミラーゼ)は、ともにたんぱく質を分解する酵素で、肝臓の細胞の中に存在しています。

肝臓が障害を受けると細胞が壊れ、細胞から血液中に流れ出すため、血液中の濃度が上昇します。GOT値とGPT値は肝細胞の破壊の程度を示していて、肝炎、脂肪肝、肝硬変などで上昇します。

GPTは肝細胞に多く含まれているのに対して、GOTは肝臓以外の心筋や骨格筋の細胞にも多く含まれています。一般には、肝臓が障害を受けているときには、GPT値が高くなり、筋肉のダメージなど肝臓以外に原因があるときにはGOTが高くなる傾向があります。

アルコールが原因の肝障害では、肝細胞以外の全身の臓器の細胞も障害を受けるため、GPT値よりもGOT値のほうが高くなることもあります。

また、心筋梗塞や筋疾患のときにもGOT値のほうが高くなり、激しい運動によって筋細胞が損傷したときにもGOT値は上昇します。

γ‐GTP(γ‐グルタールトランスペプチダーゼ)も肝臓に存在する酵素で、この酵素も肝障害などによって血液中の濃度が上昇しますが、アルコール摂取の指標と言われるほど、飲酒期間と飲酒量を反映して上昇していきます。

アルコールによる肝障害では、先にγ‐GTP値が上昇します。γ‐GTP値だけが高いときには肝障害の程度は軽く、アルコール性脂肪肝である場合が多くなっています。禁酒すると、すぐに数値が低下する特徴があります。

アルコール飲料を飲み続けて肝障害が進行すると、GOT値が上昇します。そのときには、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変などの肝障害が起きていることが考えられます。

アルコール飲料を飲んでいるときにはHDLコレステロール値が高くなり、食べすぎの場合にはHDLコレステロールが低くなります。アルコール飲料を飲んだ後には肝臓からのブドウ糖の放出が減るために一時的に低血糖になります。

そのために食後であっても空腹を感じ、夜遅くに炭水化物や糖質が多く含まれるもの(ラーメンや甘いものなど)を食べるようになりますが、そのときにはγ‐GTP値とGOT値が高くなります。飲酒と食べすぎは、脂肪肝の大きな要因となっています。

このほかに過栄養性脂肪肝とウイルス性肝炎についても肝機能の数値で判断できます。

過栄養性脂肪肝では、GOT値、GPT値が、やや上昇し、GPT値がGOT値より高くなる傾向があります。ウイルス性肝炎では、肝炎の活動期にはGOT値、GPT値が上昇するものの、休止期には正常値になります。

〔肝機能検査の基準値〕
GOT(AST)値 8~40IU/ℓ
GPT(ALT)値 5~35IU/ℓ
γ‐GTP値      60IU/ℓ未満
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕