「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から、体重管理の基本的な考え方を紹介します。
身体活動量が不変であれば、エネルギー摂取量の管理は体格の管理とほぼ同等です。したがって、体格を測定して、その結果に基づいてエネルギー摂取量や供給量を変化させることが望ましいとされています。
年齢や性別、身体活動量で規定される特定集団にとって望ましい体格を、個人にとって望ましい体格として管理に用いています。
望ましい体格として、成人では身を問わない死亡率(総死亡率)が最低になる体格(BMI)を用います。BMIを用いることで、身長の違いも考慮した体重管理を行うことができます。体脂肪量や除脂肪量(主として筋肉)などの体組成は、BMIと独立して総死亡率に影響します。
また、内臓脂肪量とその推定因子である腹囲や腹囲・身長比の方がBMIよりも強い総死亡率の予測因子という報告があります。
しかし、研究成果の蓄積の豊富さや、最も基本的な体格指数という観点から、望ましい体格にはBMIを用います。なお、乳児・小児では、該当する性・年齢階級の日本人の身長・体重の分布曲線(成長曲線)を用いています。
高い身体活動は肥満の予防や改善の有用な方法の1つであり、不健康な体重増加を予防するには身体活動レベルと1.7以上とすることが推奨されています。
また、高い身体活動は、体重とは独立して総死亡率の低下に関連することも明らかにされています。
体重増加に伴う生活習慣病の発症予防と重症化予防の観点からは、身体活動レベル(カテゴリー)が「低い」ことは望ましい状態とはいえず、身体活動量の高い状態でエネルギー収支バランスを保ちつつ、望ましいBMIを目指す必要があります。
一方、高齢者については、低い身体活動レベルは摂取できるエネルギー量の減少を招き、各種栄養素の不足を来しやすくします。
身体活動量と骨格筋量の維持や増加によって、高いレベルのエネルギー消費量と摂取量のバランスを維持しつつ望ましいBMIを目指すことが望ましくなっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕