肝機能の基礎知識6 脂肪肝

脂肪肝は、肝臓の中に中性脂肪が過剰に蓄積した状態を指します。内臓脂肪は脂肪が内臓の周りを取り巻くようについていますが、脂肪肝は肝臓の細胞の一つひとつに中性脂肪が入り込んだ状態になっています。

フォアグラは、ガチョウに過剰に栄養を与えて肝臓に脂肪を蓄積させて肥大させたもので、脂肪肝は、これと同じ状態といえます。

肝臓には余分な脂肪を蓄積する働きがあり、血液中の中性脂肪が減少したときには肝臓から放出されています。脂肪肝では肝臓に含まれている中性脂肪は30%以上にも達していますが、脂肪が蓄積された肝臓の細胞は本来の働きが低下します。

肝臓は、アルコールや薬剤などの解毒、アンモニアの分解のほかに、アミノ酸を材料とした体に必要なタンパク質の合成、タンパク質からの酵素の合成、コレステロールの合成や代謝、ホルモンの合成と調節、胆汁酸の合成、グリコーゲンとしての糖質の蓄積など、さまざまな働きをしています。

脂肪肝になっても自覚症状はほとんどないのですが、肝臓からは脂肪が血液中に流れ出し、血栓ができやすくなり、動脈硬化への変化が着実に起こっています。脂肪肝の人は動脈硬化による心疾患や糖尿病などになる確率は2倍以上になるとの報告もあります。

肝臓に中性脂肪が蓄積されることを知ると、中性脂肪が多く含まれる食品を避けるようにすればよいと考える人もいますが、実際に中性脂肪の蓄積に大きく影響しているのは、食事で摂った糖質の量です。

中性脂肪は、食事によって摂った糖質のうち余分となったものを材料にして肝臓で作られています。そのため食事量が多くなると血液中の中性脂肪が増え、肝臓の中に蓄積される中性脂肪も増えていくようになります。

アルコールを摂取すると肝臓での中性脂肪の合成が促進され、脂質代謝が低下するために肝臓に脂肪が蓄積されていきます。また、肥満の人は、脂肪細胞から脂肪酸が血液中に多く放出され、この脂肪酸を原料にして肝臓で中性脂肪が合成されていきます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕