日本ではウイルスが原因の肝臓病が多く、肝硬変、肝がんなどの死亡につながる肝障害が大部分を占めています。これは肝炎ウイルスが原因の感染症であるため、アルコール性肝障害などの生活習慣病とは分けて考える必要があります。
ウイルス性肝炎にはA型、B型、C型、D型、E型、F型、G型、TT型があり、日本ではA型、B型、C型が一般的です。
A型肝炎は、急性肝炎の20~30%を占めています。A型肝炎ウイルスに汚染された水や食べ物の飲食によって経口感染します。肝細胞内で増殖して、次々と他の肝細胞に感染して、約1か月の潜伏期ののちに急性A型肝炎として発病します。A型肝炎の多くは約2か月で治癒し、いったん治癒すれば再発することはありません。
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスの感染によって肝細胞が障害されます。血液感染がほとんどで、全身のだるさ、食欲不振、吐き気、発熱、腹痛などの症状がみられます。
自然に治ることがあるものの、慢性化する傾向があり、慢性化すると肝硬変、肝がんが発症する可能性があります。まれに劇症肝炎によって死亡することもあります。
C型肝炎の持続感染者は100万~200万人と推定されていますが、感染を自覚していない人が多数存在しています。C型肝炎ウイルスに感染しても、急性肝炎の症状が軽いために気がつかないことが多く、そのままウイルスが肝細胞に棲みつく持続感染となります。
その後、肝炎は無症候性キャリアと呼ばれる休止期になりますが、そのうちの約7割は平均10年ほどで肝炎が再活動し、慢性肝炎になります。C型慢性肝炎は、肝硬変、肝がんに移行する可能性があります。
C型肝炎は、感染者の血液を介して感染します。現在では安全性は高いものの、1992年以前に輸血を受けた人やフィブリノゲン製剤を投与された人などはC型肝炎に感染している可能性が高くなっています。
フィブリノゲン製剤は、産科の疾患などで出血が多かった人や大きな手術を受けた人が投与されている可能性があります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕