「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から、BMIと総死亡数等との関連の後半を紹介します。
主な生活習慣病に着目した場合、肥満は血圧や血中非HDL−コレステロール濃度、糖尿病有病率と強い正の関連を有しています。
また、BMIと日本人成人が費やす医療費は正の関連を示し、特にBMIが25以上の集団で高値を示しています。
さらに、高齢者(65歳以上)を対象として、日常生活動作が自立しているかどうかについて身体機能低下の発現リスクを指標とした9つの研究によるメタ・アナリシスでは、BMIと身体機能低下の発現リスクの間には、BMIが増えるほど、なだらかにリスクが増加していく正の関連が観察され、この関連に閾値は観察されていません。
また、労働者を対象とした27のコホート研究またはネスティッド・ケースコントロール研究では、BMIと身体機能低下による退職率の関連にはJ字型の関連が観察され、BMIが18.5未満でも、25.0以上でも、BMIが18.5〜24.9の集団よりも優位に退職率が高くなっていました。
これらの研究は、総死亡率に直接は関連しないものの、BMIがおよそ25以上の集団では、無視できない複数の健康障害などのリスクが生じる可能性が高いことを示しています。
60歳以上の成人においてBMIとフレイルの発症率を観察した17のコホート研究をまとめたメタ・アナリシスでは、両者の間にU字型の関連が観察されていて、BMIがおよそ27において最低の発症率が観察されています。
また、BMIとのその後の骨折発生率の関連を調べた17のコホート研究(対象者の平均年齢は55歳以上)をまとめたメタ・アナリシスでは、BMIがおよそ25未満で骨折りスクが上昇することが観察されています。
類似の結果が日本人成人(40〜74歳)のコホート研究でも観察されています。
これらの結果は、高齢者においては、肥満と同様またはそれ以上にやせが健康に与えるリスクへの配慮が重要であることを示しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕