腎機能の基礎知識1 腎臓は尿の生成工場

腎臓は、ソラマメの形をした左右一対の臓器で、一つの腎臓の重さは約120gあります。

腎臓の基本であるネフロンは、糸球体、ボーマン嚢、尿細管から構成されています。糸球体は、腎動脈から枝分かれした毛細血管が毛糸の玉のようになったもので、それをボーマン嚢が取り囲み、尿細管へと続いています。

腎臓の主な役割は尿の生成で、腎臓では1日に約1700ℓの血液が濾過されていて、そのうち170ℓが原尿となり、さらに尿として1.5ℓほどが膀胱に送られています。

腎臓に流れ込んだ血管は糸球体で濾過され、その濾液(原尿)が尿細管を通る間に、必要なもの(水分、ミネラル、タンパク質など)は再吸収されます。そして、尿素などの不要なものや、余分な水分やミネラルなどが尿として排泄されます。

また、尿細管で吸収される水分やミネラルの量が調整されることによって、体内の水分やミネラルは一定量に保たれ、それによって血圧が調整されています。血圧の調節には、腎臓から分泌されるホルモン(アルドステロン)が関与しています。

その他にも、赤血球を作るホルモンの分泌や、骨の生成に関わる活性型ビタミンDの産生などの重要な働きがあります。

成人では、たんぱく質は1日に約300gが食品として摂取されています。肝臓で約300gが分解され、約200gが合成されています。この差の100gが余剰分として肝臓でアミノ酸に分解されていますが、分解されるときにアンモニアが発生します。

アンモニアは肝細胞のミトコンドリアにあるオルニチン回路で分解されて尿素となって排泄されます。

オルニチン回路は尿素回路とも呼ばれ、オルニチン回路で1分子の尿素が作られるときには、3分子のATPが消費されています。1日に約100gのたんぱく質が分解されると約30gの尿素が排泄されます。

尿素を生成するために肝臓で3molのATPが消費されていますが、ATP1molの分解で10kcalのエネルギーが生じるので、30kcalのエネルギーに相当します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕