食事摂取基準54 エネルギー必要量の推定方法2

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中からエネルギー必要量の推定方法のエネルギー消費量(二重標識水法)を紹介します。

〔エネルギー消費量(二重標識水法)〕
成人(妊婦、授乳婦を除く)で短期間に体重が大きく変動しない場合には、「エネルギー消費量=エネルギー摂取量=エネルギー必要量」が成り立ちます。

自由な生活を営みながら一定期間のエネルギー消費量を正確に測定する方法は、現時点では二重標識水法のみです。

二重標識水法は一定量の二重標識水(重酸素と重水素によって構成される水)を対象者に飲ませ、尿中に排泄される重酸素と重水素の濃度の比の変化量からエネルギー消費量を算出する方法です。

二重標識水法を用いて1歳以上の健康な集団を対象としてエネルギー消費量を測定した世界各国で行われた139の研究結果を用いて、年齢とエネルギー消費量の関連をまとめています。

各点は各研究で得られた測定値(体重1kg当たりの値:kcal/kg/日)の平均値(または、それに相当すると判断された値)です。総じて、男性の値は女性の値よりも、わずかに高く、20〜70歳の範囲では、ほぼすべての研究が30〜40kcal/kg/日の範囲に入っています。

日本人成人を対象とした研究では同じ集計を行った結果で、すべての報告が34〜46kcal/kg/日の範囲にあり、値の単純平均は男性39kcal/kg/日、女性38kcal/kg/日であり、世界各国のまとめよりも5kcal/kg日ほど高い値を示しています。

一般に、体重が大きいと体重当たりのエネルギー消費量が小さくなります。そのため、主に体格や体脂肪率が大きい欧米人を対象とした調査より、日本人を対象としたほうが数値が高くなっていると考えられます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕