「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から基礎代謝量と身体活動量を用いた推定方法の身体活動レベルを紹介します。
〔身体活動レベル〕
身体活動レベルは、「身体活動レベル(無名数またはkcal/kcal)=エネルギー消費量(kcal/日)÷基礎代謝量(kcal/日)」として求めるか、身体活動記録法によって得られます。
身体活動記録法によって得られるエネルギ消費量は、二重標識水法で得られたエネルギー消費量よりも系統的に少なめに見積られることが知られています。
乳児・小児を対象とした34の研究をまとめた結果によると、見積り誤差は−12±9%(平均±標準偏差)(負の値は過小見積りであることを示す)と報告されています。
そのため、身体活動記録法によって得られた身体活動レベルを食事摂取基準で用いるのは適切でないと判断して、エネルギー消費量と基礎代謝量を測定して、両者から計算して得られた値を用いることにしています。
ところで、現在、実務現場において個人または集団の身体活動レベルを測定できるのは稀です。実際には担当者による推定の域を出ません。そのため、連続量で表現される身体活動レベルよりも、身体活動レベルをいくつかの群(例えば「低い」「ふつう」「高い」の3群)に分けたカテゴリーを用いるほうが、活用の利便性の観点から、また誤差をできるだけ少なく保つために望ましいと考えられます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕