「微表情」は、意識する(意識的)意識しない(無意識的)に関わらず感情を隠したり、抑制しようとするときに表れる表情のことで、感情に関わる、すべての表情筋が同時に、そして瞬時に表れるという特徴があります。
その時間は0.2秒以下とされています。0.2秒というと、かなり短いと感じるかもしれませんが、まばたきの時間は0.1〜0.2秒なので、瞬間といっても絶対に見抜けない時間ではありません。
微表情は随分と知られるようになってきていて、その講習や資格認定なども行われていますが、学べば誰もがわかるというものではありません。
表情の変化に注目しているのか、気づくことができるのかは訓練で習得することも可能性ではあるものの、その才能があって、才能を活かせる環境があって初めて身につくものと考えています。
この連載コラムでは、さまざまな環境や経験の変化について書いてきましたが、環境が微表情分析を身につけさせ、それが経験できる範囲を広げてきたところがあります。
環境ということでは、私は3歳から親元を離れて母親の実家の寺院で暮らしていたことが多くの人の微表情を読む能力(と言っていいのか?)を身につけさせるきっかけになりました。
小学生から父母のもとで暮らしたものの、父親の転勤のために小学校3校、中学校2校に通い、そのたびに余所者(よそもの)が溶け込むために表情を読んでいました。
高校と大学は、それぞれ1校でしたが、微表情を読むことは続けていました。社会人になってからも、東京にいた40年は何人分(何十人分?)の仕事をして、それだけの出会いがあって、いくらでも微表情分析の経験を重ねることができました。
視覚情報を写真のように鮮明に記憶する能力はカメラアイと呼ばれていて、発達障害がある子どもでは発現率が高いとされています。
私が発達障害であったのかどうかは今ではわからないところですが、発達障害児の支援の活動をする中で、この子は自分と同じ経験をしているのではと感じたことは指折りでは数えきれないほどありました。
私が他の人では経験できないような会議の場への参加が求められたのは、行動や発言ではわからない心の中を見ることができたからだと思っています。微表情を読んで分析することを求められているので、それに集中するために会議で発言しなくてよいと言われたこともありました。
微表情分析が違っているのではないかと見られることもあったのですが、後になって分析した人の本心が出てきて、本当だったと認められることもありました。
微表情を分析して、それを仕事などに活用する側には喜ばれていた反面、分析される側にとっては困った存在であることは明らかなことで、理解してくれる人が増える一方で、離れていく人も比例するように増えていきました。
そもそも微表情分析って何か、という疑問への返答は次回(日々修行315)に持ち越しです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕