食事摂取基準58 エネルギー必要量の推定方法6

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から基礎代謝量と身体活動量を用いた推定方法の身体活動レベル(カテゴリー)の後半を紹介します。

〔身体活動レベル(カテゴリー)〕
◎高齢者
成人の中でも高齢者は、他の年代に比べて身体活動レベルが異なると考えられます。平均年齢が60歳以上の高齢者数段において身体活動レベルを測定した32の論文を参考にして、65〜74歳ならびに75歳以上における身体活動レベル(代表値)を次のように定めています。

平均年齢が60〜74歳の集団を対象とした27集団のデータを用いて、集団を身体活動レベルでおよそ1:2:1に3分割して、それぞれの平均身体活動レベルを求めると、1.61.1.72、1.93となりました。

また、身体活動レベルの平均値、標準偏差が示されている23集団で平均値、標準偏差を合成すると1.70±0.25でした。そこで、74歳以下の身体活動レベルの代表値を170として、身体活動量で集団を3群に分けた検討も参考にして、「低い」「ふつう」「高い」について、それぞれ1.50、1.70、1.90としました。

次に、平均年齢が75歳以上の集団を対象とした23集団のデータを用いて、集団を身体活動レベルで2分割して、それぞれの平均身体活動レベルを求めると1.44、1.71となりました。

3分割ではなく、2分割した理由は、この年齢に関する報告は、自立している者と外出できない者の2つに大別され、身体活動レベル(カテゴリー)が「高い」に相当する者が想定しづらい年齢層でもあったためです。

このため、75歳以上については、身体活動レベル(カテゴリー)は「低い」と「ふつう」のみとして、それぞれ1.40と1.70としました。身体活動レベル(カテゴリー)の「低い」は、自宅にいてほとんど外出しない者を念頭に置いていますが、高齢者施設で自立に近い状態で過ごしている者にも適用できる値です。

◎小児
小児の身体活動レベルを二重標識水法で測定した報告に関して、システマティック・レビューを行い、運動選手のデータを除いて対象者数で重みづけの平均をとっています。報告された集団ごとの代表値と年齢区分ごとの対象者数で重みづけした平均値が示されています。

基礎代謝量を実測した報告と推定値を用いた報告のいずれについても用いられますが、基礎代謝量の推定値を用いて身体活動レベルを推定した報告を除いても、重みづけの平均は同様の値でした。

小児における年齢と身体活動レベルの関係について17の研究結果をまとめた別のメタ・アナリシスでも、年齢とともに増加するとしています。

これらを参考にして小児の身体活動レベルの代表値を定めています。6歳以上は、身体活動レベルの個人間差を考慮するために、成人と同じ3区分として、各年齢区分の「ふつう」から、それぞれ0.20だけ増加または減少させた値としています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕