日々修行330 岡山での必死懸命

岡山に移住して8年、これからは移動しても岡山県内(できれば岡山市内)と決めたときから「一所懸命」という言葉を常に使うようにしています。今回のお題の「岡山での必死懸命」は、「一所懸命」の先を想定して考えたことです。

原稿執筆と編集をしていた関係で、あまり見慣れない表現があったときには、それを意識して書いたのか、それとも思い違いなのか、単純に間違っただけなのかということを確認する習慣が身についていました。

「一所懸命」と原稿に書いたら、校正の段階で「一生懸命」に直されるのが常です。テレビ番組では、「一所懸命」と発言した人がいたら、テロップには「一生懸命」と表示されます。ネット検索で「一所懸命」と引いたら「一生懸命」の間違いでないかと表示されることもあります。

これから言うと、「一生懸命」が正しい言葉で、「一所懸命」は間違いとされかねないところですが、どちらが正しいのかというと、「両方とも正しい」「どちらも物事を命がけでやる」という回答をしています。

元々の言葉は「一所懸命」で、その意味は武士が領主から賜った領地を命がけで守って、これを生きる糧(生活の頼り)にして生きたことに由来しています。

このことから時代を経て「物事を命がけでやる」という意味で使われるようになり、一か所にとどまるのではなくて、一生をかけてやるということで「一生懸命」と書かれるようになりました。

「両方とも正しい」という解釈があるように、意味合いを込めていれば「一生懸命」も「一所懸命」も使われます。辞書を見ても、「一生懸命」も「一所懸命」も見出し語となっています。

見出し語というのは、辞書などで項目として取り上げられている言葉のことで、辞書的には、どちらを使ってもよいということです。しかし、統一をさせていないと混乱を招くということで、各社によって使い分けがされています。

新聞や雑誌などでは、名前を出して書いている寄稿では原稿通りに「一所懸命」を使うことはあるものの、それ以外は「一生懸命」が使うことが基本となっています。

テレビ番組の代表的ともされるNHKでも「一生懸命」を採用しています。NHKの番組で使われる言葉は『NHK編 新用事用語辞典』に従っているのですが、これを見ても「一生懸命」が採用されています。

「一生懸命」は、まだ古語の扱いはされていないものの、もう一世代(30年ほど)が過ぎたら、「一所懸命」のほうは間違いとされて、使われていないかもしれません。

ちなみに私は一か所で頑張るという意味で「一所懸命」を使うことが多いのですが、最近も原稿を提出して、それが印刷されたものを見たら案の定、「一生懸命」に直されていました。

このような本人の思いと違うように直されることがないように考えて使い始めたのが、「必死懸命」です。

「必死懸命」は、死を覚悟して全力を尽くすことが本来の意味ですが、本当に死ぬか生きるかではないことが多いので、「非常に強い決意と熱意を持って取り組むこと」と勝手に解釈しています。

岡山の地で(一所)、何を続けていくのか(一生)、古希を迎えて残された期間で、どんな必死懸命を展開していくのか、それは最終回(366回の予定)までに徐々に明らかにしていくようにします。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕