日本人の食卓の基本は、箸が手前に横向きになって置かれていて、その先に料理が並べられます。箸先を左側に向けて、箸置きの上に置きます。
洋食ではフォーク、ナイフ、スプーンが食器の左右に縦向きに並べられています。
同じ箸を使う食文化の中国では、箸は縦向きに置かれます。食事が始まる前には箸は食器の右側に縦向きに置かれていて、食べ終えたときには食器の左側に横向きにして置きます。これは食事を終えたというサインとなっています。
中国の古い文献を見ると箸が横向きで置かれていた時代もあったようですが、肉食を主とする北方騎馬民族の影響で縦向きに置かれるようになったとの説が有力です。
韓国の場合は、箸とスプーンがセットで使われることが多くて、箸は右側、スプーンは左側に縦向きに置かれています。食事の途中では、箸を食器の上に置く渡し箸はマナー違反とされています。
日本で箸を横向きに置くのは、結界の意味合いもあります。食べ物は神聖なもので、食事をする人と神聖な料理の間を隔てるのが箸の役割です。
食べている途中であっても、食べ終えても日本の場合は箸置きに同じ横向きで置かれているわけですが、食事中は渡し箸をして、食べ終えたら横向きにするというルールとなっている地域もあります。
これとは違って、大胆な行動で食べ終えたことを知らせる風習もあります。それは割り箸を使った場合のことですが、普通なら箸袋に使った箸を入れて終了のサインとするところが、箸を折る習慣の地域もあります。
地域というよりも家庭によっても違いがあるようで、箸を折ることで、それ以上は食べられないので食事を終えたことを示す行為というのは一つの説です。
もう一つは箸には霊・魂が宿っているので、これを自分の元に戻すために箸を折るということです。これは和食の作法として言い伝えているところもあります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕