食事摂取基準72 健康の保持3

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から健康の保持と欠乏の回避の「指標アミノ酸酸化法」について紹介します。

◎指標アミノ酸酸化法
近年、指標アミノ酸酸化法によって必要量を測定する研究が進んでいます。

それらによって得られた値をまとめると、窒素出納法を用いて、得られた必要量よりも一様に高く、そのため、窒素出納法によって求められた値は真の必要量よりもかなり、例えば40〜50%程度、低いのではないかとする意見があります。

しかしながら、食事摂取基準の策定根拠として用いるためには、まだ研究の数・質ともに十分ではなく、特に国内においては、その研究報告が皆無です。

そこで、今回の策定では指標アミノ酸酸化法によって得られた結果は直接には用いず、窒素出納法で得られたたんぱく質維持必要量を用いることにしました。

今後、指標アミノ酸酸化法を用いたライフステージ別・ライフステージ別のたんぱく質維持必要量を明らかにする国内の研究が喫緊の課題です。

なお、たんぱく質を構成している各アミノ酸(特に、不可欠アミノ酸)の必要量も重要ですが、現在、アミノ酸の必要量を設定するための、量・質ともに十分なエビデンスは存在していません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕