日々修行338 日本版CCRCの位置付け

2025年6月13日に閣議決定された『地方創生2.0基本構想』に出てきた「日本版CCRC」が、7月12日に「高齢者向けシェアハウス」としてメディア報道されたことについては前回(日々修行337)書きました。

CCRCは、Continuing Care Retirement Community(継続的なケアが提供される高齢者コミュニティ)の略称で、中高年者が健康で自立した社会生活を送ることができるように支援する地域コミュニティを指しています。

CCRCの発祥地であるアメリカでは約2000か所、居住者約70万人にも上っていて、一つの産業の位置付けとされて数も規模も増やし続けています。

アメリカ型CCRCは、継続的なケアによる高齢者のQOLの向上を特徴としていて大規模集合住宅が基本となっています。日本の施設では有料老人ホーム、それも大規模な有料老人ホームが該当すると考えられています。

日本の地方創生は2014年に始まり、これに基づいた従来の仕組みをCCRCに当てはめてみると、高齢者の地方移住による地方創生ということになります。これを「CCRC1.0」とすると、退職者を対象としたサービス付き高齢者向け住宅が該当します。

サービス付き高齢者向け住宅は「サ高住」と略して呼ばれることが多く、定義としては高齢者が安心して暮らせるように、バリアフリー構造で、安否確認や生活相談サービスを提供する賃貸住宅を指しています。

これに対して、日本版CCRCの「CCRC2.0」では、継続的なケアとつながりのある多世代コミュニティを想定しています。

高齢者が点在する地域では、在宅の介護サービスをするには距離と時間の問題があり、介護施設に集ってもらうにしても送迎の手間がかかります。福祉施設と福祉人材が不足している中では、限られた施設と人材を、いかに有効に活用するかということは従来からの重要課題でした。

その中から登場したコンパクトシティ構想では、生活の利便性の維持・向上を目的として居住や生活サービス機能を集積するもので、これまでは都市の居住地や生活に必要な施設を都市の中心部に集約して、郊外への拡散を抑制する都市構造を指していました。

ところが、CCRC2.0では中心部に限らず、地域住民が集うと同時に住むことによる地域交流拠点と位置付けることができます。

高齢者が安心して暮らせる住まいを確保することを目的として、低料金で入居できる小規模・地域共生ホーム型の高齢者向けシェアハウスを全国的に整備する方針を政府が打ち出しました。

その高齢者向けシェアハウスは、入居者の生活の場を提供するだけでなく、介護など地域ケアの提供拠点とも位置付けられています。

地方においては、既存の介護施設の維持が危ぶまれている現状があり、住まいを失いかねない高齢者への対応が急務となっています。それに対応するための具体策の一つが老朽化した老人ホームなどをシェアハウスに転換することです。

また、既存の高齢者支援施設との連携によって、自由度が確保された住まいという、これまでの施設の課題(デメリット)が解消されることも大きな利点(メリット)として期待されています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕