「はらわたが煮え繰り返る」という表現は、メディアでも日常的な会話の中でも、よく耳にすることです。はらわたを漢字にすると、腹わたと書くこともあるのですが、正式の漢字は「腸」です。
他にも臓、腑と書くこともありますが、はらわたは腹のわた(曲)の意味で、わたは曲がりくねったところを指します。そこから転じて曲がりくねった腸を指すようになり、さらに内臓の総称とされるようになりました。
こう考えると、体内にある内臓が煮え繰り返るというのは、よほどの刺激があったということだろうと想像することがあるかもしれませんが、「はらわたが煮え繰り返る」というのは間違った表現(誤用)です。
正しくは「腹が煮え繰り返る」で、我慢できないほど激しい怒りや憤りを感じている状態を表しています。
腹を腸と読み間違い(書き間違い)して、腸は“はらわた”と読むことから、間違った使い方をしたのが今に伝わっていると説明している辞書もあります。さらに辞書の中には、腹が煮え繰り返る、を誤用だとしているものもあります。
この場合の辞書は紙の辞書を指していますが、ネット検索では「腹が煮え繰り返る」と打ち込んで変換すると正しい表現として「はらわたが煮え繰り返る」が出てくることもあって、ますます混乱に拍車をかけています。
そのうちデジタルの世界では「はらわたが煮え繰り返る」が正しい表現で、「腹が煮え繰り返る」が誤用とされるのではないかとの不安も湧き上がってきます。
ちなみに「はらわたが煮え繰り返る」も「腹が煮え繰り返る」も、同じ意味(我慢できないほど激しい怒りや憤りを感じている状態)が出てきます。もちろん表現は、それぞれ少しずつ違っているところがあるのですが、概説としては同じです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕