メディカルダイエットの仕事を始めたときに言われたことで、今でも強く心に残っていることの一つに「体重計に乗るだけでダイエットできたらいいのに」という言葉があります。
このことを怠け心で言っているのか、それとも深い意味が秘められているのか、との判断は、誰が口にしたことなのかで違ってきます。
表現は違っているものの、同じようなことは何度も言われてきているのですが、強く心に残っているのは専門家と呼んでいい方の言葉です。
体重計に乗るだけでダイエットできるとしたら、それはモチベーションが高められたことであって、自分の体重を知ったこと、体重の変化を知ったことで、やせなければならないと思い、そのために何をすればよいのかと考える“きっかけ”が得られた結果です。
きっかけがあっても、それだけで食事の質と量、運動の種類と時間を見直してくれればよいものの、実践が伴わない人は少なくありません。何をすればよいのかがわからなければ、なかなか実践に結びつかないということで、それぞれの人に適した効果的な方法を導き出すというアプローチをしています。
それを実行するのか、続けるのかは、本人次第のところがあって、メディカルダイエットの講習や指導だけで必ずしも目標どおりに進むわけではありません。
体重を測定することで、目指す体重に近づいていくためには、体重という曖昧さが残る測定結果だけでなく、これに体脂肪の測定を加えて、体脂肪率、筋肉量などを表示することで、より効果が得られるという発想をして、体組成計を世に送り出した方と仕事をさせてもらったことがあります。
日本メディカルダイエット支援機構は、特定非営利活動法人(NPO法人)の設立を目指した時から検査数値を的確に知って、それを活かす方法の研究を進めてきました。それは食事と運動、食事と入浴、運動と入浴のタイミングによる効果的な体脂肪の増減法でした。
そして、2008年に内閣府に申請をして特定非営利活動法人として認証されたのですが、その年はメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策が国をあげて始まったタイミングと合致していました。
そのために、体脂肪の測定と、体脂肪(特に内臓脂肪)を減らす方法を組み合わせて、効果をあげようという研究へと拡がっていきました。
私たちのメディカルダイエットは、一般的なダイエットでイメージされる“やせる”ということではなくて、体脂肪を減らすべき人には減らすように、体脂肪を増やすべき人には増やすようにすることが主眼となっています。
そこは勘違いされていたこともあったものの、結果として体脂肪を測定する方法を活用させてもらい、私たちが実施してきたタイミングによる体脂肪の増減の研究は一気に進むことになりました。
その研究のサポートをしてくれたのは、計測器の会社を体組成計の会社に発展させたときの代表であった谷田大輔さんです。名字は「たにた」ではなくて「たにだ」と読みます。
(トヨタの創業家の名字が“とよだ”と読むのと同じ感覚でしょうか)
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕