今回のお題の「国に預けている金」は、前回(日々修行359)の「自分の金を預けているだけ」を受けてのものですが、前回のパチンコ業界の話とは違って、シビアに感じる話になるかと思います。
ここで書く金は「かね」(money)であって「きん」(gold)ではありません。
「国に預けている金」というと、年金のことを思い浮かべる人が多いようですが、これは預けているわけではないことを、国民全員が承知しているということが前提となっています。
公的年金制度は、現役世代が支払った保険料を高齢者の年金給付に充てるもので、いわば仕送りのようなものです。自分が出した金が積み立てられて、それを一定の年齢になったら受け取れるという制度ではありません。
しかし、払ったものを取り戻すという感覚の人は依然として多くて(そちらの考えをする人のほうが多い?)、支払った金額よりも少ない給付しか受けられないと損をした、支払った金額よりも多く受け取ったら得をしたということを口にする人は相変わらず多く存在しています。
こんな考え方になるのも“損益分岐点”という用語を使って説明しているメディアやネット情報のせいで、もちろん給付金額にもよるものの、年金受給年齢を引き上げると全体的に受け取れる金額が増えるというのは事実です。
65歳受給を70歳受給にすると、得をするのは81歳からとなり、ちょうど男性の平均寿命と同じくらいになります。なんだか長生きすることがギャンブルのような感覚で、これは前回の「自分の金を預けているだけ」ということと重なってきます。
ここまで書いてきて、実は違うことを書きたかったというのは「文筆家として正しい行いか」と言われそうですが、それは国の制度を活用して自らの利益としていた人の話です。
民間企業であれば、企業の儲かる仕組みを作った人が出世していくというのは普通にあることで、例えばコピー機のカウント(プリント枚数)に応じて追加料金が発生する仕組みを考えた人(ゴーストライターをしていたときのインタビュー先の1人)は出世を通り越して、別の法人を作ってもらって、生きている限りは高額がいただけるという利益を構築しました。
これは初めから考えていたことではなくて、「一生懸命に頑張ったご褒美」ということを話していましたが、これが得られるかどうかはギャンブルのようなものです。
お役人の天下りも、そう大きくは変わらなくて、勝ち組以上に多くの負け組がいます。
これとは違って、初めから永遠に続く国から利益が得られる仕組みを考えたお役人がいます。消費税は海外の仕組みを参考にしたと言い、そのように国民にも国会議員にも理解させた方が作り上げたのは、消費税に関わる仕事を国から外注される組織で、消費税が続く限りは、この組織が続く限りは収益が落ち続けます。
このような仕組みは、心あるお役人なら反発、反対をするところでしょうが、猛反対をするかもしれない後輩にバトンタッチされる仕組みにしたことで、社会の仕組みが続くことが大前提となっています。
これは消費税に限った話ではなくて、さまざまなところで作られてきたことで、これ以上明らかにする勇気は今のところはありません。これを止めさせるような大変革の時期が近づいてきています。それが実現されるのか、まだまだ続くことになるのか、それはまだわかりません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕