食のリテラシー30 食物繊維の摂りすぎ

食物繊維は、かつては不要なもの、カスのような扱いをされていたのですが、今では6大栄養素の1つとして取り上げられるようになっています。6大栄養素は糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、そして食物繊維です。

食物繊維は水に溶けない(変化しない)性質の不溶性食物繊維と、水を吸って膨らむ水溶性食物繊維に大きく分けられています。不溶性食物繊維は野菜や根菜類などに多く含まれていて、水溶性食物繊維は海藻、きのこ、果物に多く含まれます。

両方の食物繊維ともに消化されず、そのために吸収もされません。

不溶性食物繊維には腸壁を刺激して蠕動運動を盛んにする働きがあるのですが、多く摂り過ぎると便を固くして通過しにくくなることが指摘されています。水溶性食物繊維は便を軟らかくする作用があるのですが、多く摂り過ぎると軟便や下痢の原因にもなります。

不溶性食物繊維と水溶性食物繊維のバランスが大切になるということですが、自分なりのバランスがわかっていたとしても、腸の状態によっては不溶性食物繊維と水溶性食物繊維のバランスを変える必要があります。

便秘のときには不溶性食物繊維も水溶性食物繊維も多めに摂ることで改善する効果がありわけですが、下痢のときに不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を摂ると下痢の状態が悪化することになります。

そして、下痢から回復してきたら不溶性食物繊維を減らして、徐々に水溶性食物繊維を増やしていくということが指導されます。

ところが、便秘と下痢を繰り返すような状態の人には、これだけではなくて他の方法もすすめられます。それについては次回(食のリテラシー31)に続きます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕