一般社団法人全日本ミニマリスト協会の理事を務めさせてもらっています。
同協会はネットコミュニティから始まり、全国の会員数は1万5000人を超えています。代表理事が会員登録の申請者と交流してからの入会であるので、なかなかの組織力ではあります。
この活動は、ミニマリズムの健全な推進を目指していますが、自分たちの考えを押し付けるようなことはなくて、さまざまな考え方をされる方がいて、それぞれが目指すところに向かって考えながら進んでいくことが期待されています。
私が会員になり、理事にもなったのは、代表理事の考え方に賛同(感動!)したからで、代表理事が同じ岡山県内の方で、活動範囲が重なっているというのは偶然でしかありません。
ミニマリストは、ごく簡単に説明すると必要最低限のものだけで生活する人のことですが、それにこだわっているわけではありません。所有するものを減らして、本当に必要なものを見極めることで、自由な時間や心の余裕を得ることを目指しています。
ミニマリスト、ミニマリズムというと“断捨離”と同じように見られることもあり、ミニマリズムの実践と言いながらも片づけ上手というだけのこともあるものの、これも全日本ミニマリスト協会の理事としては普通に受け入れています。
私の場合は、転居に次ぐ転居で物は少なくて、付き合っている人の多くは8年前に移住してから知り合った(リアルもネットも)方で、好むと好まざると無関係に人脈のミニマリズムを実践することになりました。
重要なのは片付けることによって時間を作るということで、この時間を、どのように活かしていくか、社会に役立つことに使うか、次の世代に好環境を残していくか、ということを考え続けています。
今回のお題の「恩送り」という用語を原稿で使ったときに、「恩返し」に直されて、それが書面に掲載されたことがあります。文章全体を読めば、恩返しではないことはわかるだろうにとは思ったものの、新たな考えを定着させるのは難しいとも感じたものです。
恩返しは、受けた恩を返していくことで、返す対象は恩人(世話になった人)か、その関係者という場合を指しています。これに対して「恩送り」は受けた恩を恩人に返すのではなくて、恩を先に送ることを指しています。
“先に送る”といっても、先送りとは違います。先送りは判断や処理を先に延ばすことで、やらなければならないことはわかっていても遅らせるという、あまりよいことではありません。
恩送りは、こども食堂や子どもの飲食の困難さを解決しようという活動から広まりました。料金を支払う人は、自分の分だけでなく、もう1人分も出して、もしも金銭的に厳しい人が来たら、その方のために使ってもらえるようにするという仕組みです。
(あくまで簡単に説明したので、当たっていない活動をされている方がいるのは承知しています)
全日本ミニマリスト協会の代表理事は、防災のプロで片づけが命を救うことにつながるという意味での活動もしていますが、テイクアウト専門のコーヒー店も経営しています。もちろん子ども向けの飲み物も用意されています。
年齢が進むほど受けた恩は増えていくのに、返していく人が減っていくということで、最後は返したくても返せなくなってしまいます。私は古希となり、恩を受けた人は毎月のように減っていきます。
最後には返せなくなるのなら、その前に恩送りをしようと考えて、やってきたことを整理して、「私に恩送りをしてくれ」という方を探しているところです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕