厚生省と労働省が合併して厚生労働省となったのは2001年のことですが、合併前に両省が合同して始めたのがTHP(Total Health Promotion)運動で、それは1987年のことでした。
これは産業界で働く人たちの健康診断の結果に合わせて、健康の維持・増進を目的として産業医の診断に基づいて各専門家が指導を行う仕組みで、その専門家として指定されたのは栄養、運動、保健、心理の4分野でした。
それぞれの指導の資格が設けられ、栄養(産業栄養指導者)、運動(ヘルスケア・トレーナー)、保健(産業保健指導者)、心理(心理相談員)の各分野で、新たに団体が設立されました。
私は、臨床栄養のH.D.S.研究所で主任を務めていましたが、研究所の山本辰芳所長が中心となって1992年に立ち上げたのが産業栄養指導者会でした。その事務局の運営と広報紙の作成も、私の役目となりました。
栄養、運動、保健、心理の各分野は単独で解決できることは少なく、それぞれに関連があり、健康づくりのためには複数の手法を組み合わせることによって効果が高められることは、長年の研究で明らかにされてきました。
私たちは、臨床栄養の研究を始めたときから、組み合わせの重要性は認識していましたが、理論の裏付けをしてくれるような公の活動がなかったことから、なかなか進まないという感覚がありました。
それを解決に導いてくれたのがTHP運動で、厚生労働省の栄養関係部署のお役人と山本辰芳所長の深い関係もあって、組み合わせの有効性は理解されやすい環境もありました。
当時の厚生労働省の栄養関係部署の栄養士・管理栄養士は、国立病院からの出向だったことから、国立病院の栄養士・管理栄養士の組織の会長であった山本辰芳にとっては、お役人が後輩であることから何かと交流をさせてもらっていました。
組み合わせの基本となるのは食事と運動ですが、これに入浴を加えた三角形(食事×運動、食事×入浴、運動×入浴)のタイミングによって効果的な体脂肪の増減の手法がメディカルダイエット研究の基本となりました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕