食事摂取基準99 n–6系脂肪酸2

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中からn–6系脂肪酸の「目安量の算定方法」を紹介します。

〔目安量の算定方法〕
*成人・高齢者・小児(目安量)
平成30年・令和元年国民健康・栄養調査から算出されたn–6系脂肪酸摂取量の中央値を1歳以上の目安量(必須脂肪酸としての量)としました。

なお、必要に応じて前後の年齢区分における値を参考にして値を平滑化しました。

*乳児(目安量)
母乳は、乳児にとって理想的な栄養源と考え、母乳脂質成分と基準哺乳量(0.78L/日)から目安量を設定しました。0〜5か月の乳児は母乳(または乳児用調整乳)から栄養を得ていますが、6か月頃の乳児は離乳食への切り替えが始まる時期であり、6〜11か月の乳児は母乳(または乳児用調整乳)と離乳食の両方から栄養を得ています。

この時期は幼児への移行期と考え、0〜5か月の乳児の目安量と1〜2歳児の目安量(中央値)の中間値を用いました。

0〜5か月児の目安量は、母乳中のn–6系脂肪酸濃度(5.16g/L)に基準哺乳量(0.78L/日)を乗じて求めました。

「n–6系脂肪酸:目安量(g/日)=5.16g/L×0.78L/日=4.02L/日」

6〜11か月児の場合は、0〜5か月児の目安量と1〜2歳児の平成30年・令和元年国民健康・栄養調査の摂取量の中央値(男女平均)の中間値として、以下のように求めました。

「n–6系脂肪酸:目安量(g/日)=〔4.0+(4.6+4.3)/2〕2=4.2g/日」

*妊婦・授乳婦(目安量)
平成30年・令和元年国民健康・栄養調査では調査対象となった妊婦の人数が極めて限られていたことから、妊娠可能年齢に該当する妊娠・授乳をしていない女性におけるn–6系脂肪酸摂取量の中央値を用いることとしました。この値は9.33g/日であり、目安量を9g/日としました。

授乳婦についても同様に平成30年・令和元年国民健康・栄養調査では調査対象となった妊婦の人数が極めて限られていたことから、妊娠可能年齢に該当する妊娠・授乳をしていない女性におけるn–6系脂肪酸摂取量の中央値を用いることとしました。このため、目安量を9g/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕