「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中からn–3系脂肪酸の「欠乏の回避」を紹介します。
〔欠乏の回避〕
小腸切除や脳障害などのために経口摂取ができず、n–3系脂肪酸摂取量が非常に少ない患者において、鱗状皮膚炎、出血性皮膚炎、結節性皮膚炎、成長障害が確認され、n–3系脂肪酸を与えたところ、これらの症状が消失または軽快したことが報告されています。
具体的には、0.2〜0.3%エネルギーのn–3系脂肪酸投与により皮膚症状は改善して、1.3%エネルギーのn–3系脂肪酸投与によって体重の増加が認められています。
しかしながら、n–3系脂肪酸の必要量を算定するために有用な研究は十分には存在しません。
その一方で、日常生活を自由に営んでいる健康な日本人にはn–3系脂肪酸の欠乏が原因と考えられる症状の報告はありません。
そこで、現在の日本人のn–3系脂肪酸摂取量の中央値を用いて目安量を算定しました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕