日本の種苗会社は、サカタのタネ、カネコ種苗、タキイ種苗がシェアの多くを占めていますが、その販売先は国内だけでなく海外にも販売をしています。
日本の野菜の種子は非常に優良で、これを輸入して、育てやすく、収量が多くて、おいしい野菜を育てようという国は世界に及んでいます。また、その国も栽培量も拡大しています。
品種改良によって優れた種子を開発することは以前から続けられてきたことであっても、その種子を日本で拡大して栽培するのは難しいことです。
その優れた種子はF1種(一代雑種)が多くを占めています。
異なる品種を交配して新たな品種を作り出す品種改良法で、狙いどおりの品種を作り出すことができても、自家採種ができないというデメリットがあることは前回(食の不都合な真実5)紹介しました。
そのために毎年、種子を買い続けなければならないわけですが、肝心の種子を育てる環境という点では日本は劣っています。
日本の野菜の種子を「工業製品のようだ」と評した研究者もいて、規格どおりの野菜が栽培できるようになったものの、その種子が気候変動の続く日本では一定の水準に保つことが難しいという状況にあります。
このことは昨今の災害級の高温被害や記録的な大雨による野菜の栽培状況を見るだけでも想像がつくところです。
さらに日本は国土が狭くて育成面積も狭い、狭さのために交雑しやすいということに加えて、高温多湿、梅雨の時期、雪の季節は種子の育成には向いていないなど、さまざまな難点があります。
また、日本は海外に比べると人件費が高くて、輸入しても安くつくという国は多く存在しています。また、栽培する地域を世界に広げることで、リスクを分散させるというメリットもあります。
それは気候変動だけでなく、政治的リスクや輸入ルートの変化ということも関係しています。日本に輸入される野菜の種子を国別に見ていくと、輸入ランキング(数量)はアメリカ、イタリア、デンマーク、チリ、ニュージーランド、中国の順になっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕