「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から一価不飽和脂肪酸の「生活習慣病の発症予防」を紹介します。
〔生活習慣病の発症予防〕
一価不飽和脂肪酸摂取量と総死亡率、循環器疾患死亡率、脳卒中死亡率、心筋梗塞死亡率の関連を検討したコホート研究の結果をまとめたメタ・アナリシスでは、どの指標でも有意な関連を観察していません。
一方、このメタ・アナリシスでは一価不飽和脂肪酸摂取量/飽和脂肪酸の比が総死亡率や循環器疾患死亡率と有意な負の関連を示しました。
また、一価不飽和脂肪酸摂取量に関する別のコホート研究のメタ・アナリシスでは、総死亡率と負の関連を認めている報告もあります。
飽和脂肪酸の置き換えの影響を検討したコホート研究のメタ・アナリシスでは、飽和脂肪酸を一価不飽和脂肪酸に置き換えた場合、総死亡率の低下を認めています。
以上のように、一価不飽和脂肪酸が主な生活習慣病の予防にどのように、そしてどの程度寄与し得るか(またはリスクになるか)はまだ明らかではないと考え、一価不飽和脂肪酸の目標量は設定されていません。
しかし、一価不飽和脂肪酸もエネルギーを産生するため、肥満予防の観点から過剰摂取に注意すべきです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕