食事摂取基準115 食事性コレステロール2

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から食事性コレステロールの「生活習慣病の発症予防」を紹介します。

〔生活習慣病の発症予防〕
古くはKeysの式とHegstedの式として知られているとおり、コレステロール摂取量の変化は、飽和脂肪酸の摂取量の変化とともに、血中コレステロール値の変化に量的に関連します。

つまり、コレステロール摂取量が増えれば血中コレステロールは増加します。類似の研究をまとめたメタ・アナリシスでも、ほぼ同じ結果が示されています。

しかし、両者の間に明確な閾値は観察されていません。

また、我が国では、コレステロール摂取または主なコレステロール摂取源である卵の摂取が健康に好ましくないという情報が広く流布していたため、因果の逆転が生じている可能性を否定できないと考えられています。

日本人において、1990年の調査までコレステロール摂取量と血中コレステロール値の正の関連を認めていましたが、2010年の調査では認めていないという報告があります。

コレステロール摂取量の過剰摂取は循環器疾患の危険因子となり得ると考えられ、いくつかの疫学研究が、その結果を報告しています。疫学研究ではコレステロール摂取量の代わりに卵の摂取量や卵摂取頻度を用いた研究も多くなっています。

このような方法を用いたコホート研究をまとめたメタ・アナリシスは、1日当たり1個の卵摂取の増加と循環器疾患発症率との間に有意な関連は認められなかったと報告しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕