「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から指標設定の基本的な考え方の「炭水化物」を紹介します。
〔炭水化物〕
炭水化物、特に糖質は、エネルギー源として重要な役割を担っていますが、その必要量は明らかにはできません。また、通常、乳児以外の者は、これよりも相当に多い炭水化物を摂取しています。
そのため、推定平均必要量を算定する意味も価値も乏しくなっています。
さらに、炭水化物が直接に特定の健康障害の原因となるとの報告は、理論的にも疫学的にも乏しくなっています。
そのため、炭水化物については推定平均必要量(および推奨量)も耐容上限量も設定しません。同様の理由によって、目安量も設定されていません。
一方、炭水化物はエネルギー源として重要であるため、この観点から指標を算定する必要があり、たんぱく質と脂質の残余として目標量(範囲)を算定しました。
なお、アルコールは、日本人の食事摂取基準2020年版までは炭水化物の項に記述されていましたが、アルコール(エタノール)は栄養学的にも化学的にも炭水化物とは異なる物質であり、必須の栄養素でもありません。
このため、食事摂取基準2025年版では栄養素に関する章では取り扱わないこととしました。
ただし、アルコールはエネルギー源となるため、エネルギー摂取を考慮する際には、たんぱく質と脂質の残余には炭水化物とアルコールの両方に由来するエネルギーが含まれることになります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕