「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から指標設定の基本的な考え方の「糖類」の続きを紹介します。
〔糖類〕
齲歯(うし)については、55の研究をまとめたシステマティック・レビューと23の研究をまとめたシステマティック・レビューにおいて、糖類摂取量が多いこととの関連が指摘されています。
肥満、2型糖尿病、齲歯のいずれについても、それを超えると発症が増える、あるいは減るといった糖類摂取量の明確な閾値は報告されていません。よって、糖類に対して目標量を定めるか否かは検討する必要があります。
糖類のうちでも、総摂取量に当たるtotal sugar(総糖類)ではなく、added sugar(添加糖類:食品の調理加工中に添加された糖類やシロップ)あるいはfree sugar(遊離糖類:added sugarに果汁を加えたもの)の健康影響が多く研究されており、各国・組織で糖類摂取に対して定められている基準値は、多くの場合、added sugarまたはfree sugarに対するものです。
例えば、世界保健機関(WHO)は、free sugarの摂取量に関する勧告を出しており、総エネルギーの10%未満、望ましくは5%未満に留めることを推奨しています。
Total sugar摂取量に対して推奨される量を定めている国としてフランス(100g/日未満)、韓国(総エネルギーの10〜20%)があげられます。
我が国では、日本食品標準成分表の炭水化物成分表に単糖や二糖類など糖の成分値が収載されていますが、すべての収載食品についてではありません。
また、ある食品に含まれる糖類について、その由来ごとの成分値、すなわちadded sugarやfree sugarの成分値は示されていません。よって、個人および集団におけるadded sugarとfree sugarの摂取実態を簡便に推定することは現時点では困難です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕