忙しい人の時間は重要度が違い、忙しいことはよいことであるというような風潮がみられます。メディアの取材でも、取引先の評価にしても、忙しいことを賞賛するような内容が多くなっています。このことは書籍やテレビなどのインタビューをする中でも感じてきたことです。
あるグループ企業の経営者が効果的に1時間を使うために、1週間に1回、経営に関わる社員全体を会議室(というよりもセミナー室の広さ)に集めて、各人が3分でプレゼンをして、それに対して1分で結論を出すということをしていました。
それは一時期、テレビ番組でも「稼ぐ企業の経営者は違う」というムードで伝えられていて、記憶に残っている人も多いかと思います。
そのことによって結果が出ているときには、招集された社員から疑問や不満は出ていなかったのですが、経営に暗雲が立ちこめてくると社内の雰囲気が変わってきました。
その場に集まってくるだけでも全員が時間をかけています。グループが大きくなり、遠距離から来る社員が増えるほど時間がかかるようになります。朝一番の会議ということで、前日に本社の近くに宿泊する社員も増えました。
しかも、月曜日(月曜日が休日の場合は翌日)の朝一番であったので、休みの日に仕事のために移動の時間を使うことにもなります。プレゼンを休日に家に持ち帰ってすることになった社員もいました(というよりも、ほとんどだった、と聞いています)。
3分のプレゼンにまとめるのは普段以上に時間がかかります。経営者の前にいるのは1時間であったとしても、その時間に間に合うように行けばよいわけではなくて、早めに出社して準備をする必要もあります。
その会議の日のことを“超早朝出勤”と呼んでいる人もいて、その人から聞いたことを、ここで書いています。
他人の時間を奪っていることに気づかない、気づいていても気にしないということでは、給料が高くても奪われた時間と比べたとき、どのように感じるのか、それだけは考えてほしいということを伝えるために使っています。
〔セカンドステージ連盟 理事長:小林正人〕