講演や講習などで、今回のお題の「腐ってもタイアップ」を使うと、聞いている人のほとんどは、何らかの反応をしてくれます。場を和ませようとしている、面白いことを言う人だ、という普通の反応だけでなくて、講演などのテーマに沿った“深い意味”がある言葉ではないかと深読みをする人もいます。
このような反応が返ってくるのは、もともとの諺(ことわざ)をもじったもので、しかも途中までは諺と一緒なので、理解しやすいことも関係しています。その諺は「腐っても鯛」で、それにアップをつけただけです。
腐っても鯛は、「立派で価値の高いものは、たとえ状態が悪くなったとしても、なおその価値が保たれる」という意味です。価値が高いことを認めた“褒め言葉”で、物よりも人の価値に対して使われることが多いようです。
「腐ってもタイアップ」を金言の一つとしてあげたのは、今の時代にはタイアップは重要であり、タイアップの質や時間などに差があってもタイアップはタイアップで、タイアップをしてもらっただけでも有り難いという考えがあります。
そもそもタイアップ(tie up)とは何かというと、「結びつける」という意味で、連携する方法、提携する方法によって、お互いが利益を共有できる関係を築く場合に使われています。
音楽業界では、新しい楽曲を広めるためにメディアに無料で提供することは、以前から行われてきました。レコードを持ってテレビ局やラジオ局、有線放送を回るというところから始まったので(CDが登場する前)、宣伝の費用を使うのではなくて、“足を使って稼ぐ”のがタイアップと考えられることが多かったようです。
しかし、タイアップは一方的にお願いをする行為ではなくて、放送局などにとっても大きなメリットがある大事なことです。それが「腐ってもタイアップ」と揶揄(やゆ)されるようなことになっています。
この先の話は次回(金言の真理28)に続きます。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕