食事摂取基準132 炭水化物15

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から食物繊維の「測定法の変化を踏まえた目標量の捉え方」の後半を紹介します。

〔測定法の変化を踏まえた目標量の捉え方〕
日本人の食事摂取基準2025年版では食物繊維に関して目標量を定めていますが、この根拠としたメタ・アナリシスに含まれる個々の研究は1985〜2017年に論文として公表されています。

AOAC.2011.25法は2011年に発表されたのち、5年ほどは各国で評価が行われており、例えば米国における食品成分表に相当するデータ集(FoodData Central)に、この測定法が取り入れられたのは2019年です。

すなわち、前出のメタ・アナリシスに含まれる研究での栄養計算は、ほとんどの場合、日本食品標準成分表(七訂)相当の食物繊維測定法が用いられると考えられます。

また、目標量算定の際に考慮した国民健康・栄養調査における食物繊維摂取量も、日本食品標準成分表(七訂)を用いて算出されています。

つまり、ここで示した食物繊維の目標量は、日本食品標準成分表(七訂)相当の測定法を用いて算定された値となっています。

仮に、AOAC.2011.25法を用いた調査研究に基づいて目標量を算定すると、示した値よりも相当に高い値となることが予想されます。

これは目指すべき食物繊維摂取量をして示した25g/日と日本人の摂取実態の両方が、AOAC.2011.25法を用いると高く計算されるからです。

日本食品標準成分表(八訂)を用いて栄養計算を行い、食事提供や摂取量評価を行う際には、ここで示した目標量と同等、あるいは少し控える値を提供(摂取)できていたとしても生活習慣病予防の観点からは不十分である可能性があります。

ただし、日本食品標準成分表(八訂)を用いた栄養計算を行い、その適切性の評価を行う場合、成人においては目指すべき食物繊維摂取量である25g/日を目安とするのも一つの方法です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕