食事摂取基準134 エネルギー産生栄養素バランス1

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中からエネルギー産生栄養素バランスの「基本的事項」を紹介します。

〔基本的事項〕
エネルギー産生栄養素バランスは、「エネルギーを産生する栄養素(energy-providingnutriemts,macronutriemts)と、それらの構成成分が総エネルギー摂取量に占めるべき割合(%エネルギー)」として、これらの構成比率を示す指標です。

エネルギーを産生する栄養素として、たんぱく質、脂質、炭水化物、アルコールがあります。これらの栄養素バランスは、エネルギーを産生する栄養素と、これらの栄養素の構成成分である各種栄養素の摂取不足を回避するとともに、生活習慣病の発症予防と、その重症化予防を目的とするものです。

そして実質的には、前者を満たした上で、後者を主な目的とするものであるため、その指標は目標量とするのが適当です。

エネルギー産生栄養素バランスの中で、たんぱく質には必要量が存在しており、推定平均必要量が算定されています。不足を回避する目的から、推奨量を摂取することが勧められます。

脂質は、脂肪酸に細分類されて、n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸には目安量が算定されています。また、飽和脂肪酸には目標量が設定されています。炭水化物は必須脂肪酸ですが、特殊な条件下を除けば、摂取量が必要量を下回ることは考えにくいことです。

以上より、エネルギー産生栄養素バランスを定めるには、初めにたんぱく質の量を定め、次に脂質の量を定めることが適切であると考えられます。

その残余には炭水化物とアルコールが含まれますが、アルコールはエネルギーを産生するものの必須栄養素ではなく、摂取を勧める理由はありません。

そこで、これらの栄養素バランスにアルコールを含める場合には、たんぱく質と脂質の残余を炭水化物とアルコールと考えることが最も適当であるとされます。

乳児(1歳未満)については、母乳における栄養素の構成比をもって、好ましいエネルギー産生栄養素バランスと考えるものとしています。そのため、乳児についてはエネルギー産生栄養素バランスを設定せず、1歳以上について設定することとしました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕