食の不都合な真実10 品種改良による栄養低下(トマト3)

トマトは品種改良が相次いで、従来のトマト(100g以上の大玉トマト)だけでなく、さまざまな種類が誕生しています。大玉トマト、ミディトマト(50g前後の中玉トマト)、ミニトマト(10〜30g)に大きく分けられていますが、ミディトマトは大玉トマトとミニトマトを掛け合わせて作られたものです。

最近のトマトは、どれも甘くて、中にはフルーツトマトと呼ばれるフルーツ並みの甘さを誇っているものもあります。フルーツトマトという品種は実はなくて、標準的なミディトマトやミニトマトの糖度が7〜8度であるのに対して、8度以上がフルーツトマトと分類されています。中には糖度10度のものも登場しています。

甘さを最優先させた品種改良が続いた成果ということですが、甘さが増した一方で減っているものがあります。それは酸味です。トマトの魅力は酸味と糖度のバランスであったはずが、酸味が減っていったために、従来のトマトでは料理人(シェフ)がトマトソースを作れなくなったということも起こっています。

酸味が足りないというのはビタミンが少ないということですが、さらに苦味のもとのミネラルも少なくなっています。

トマトの甘味は、トマト臭いと言われた“青臭さ”が弱まることで、相対的に強く感じるようになってきました。

トマトは成長の過程で苦味成分が発生して、これが残ると「消毒薬のような臭い」と言われる独特の臭いが残っていました。苦味成分はアルカロイドやトマチンで、これらは熟成するとともに減少していくのですが、成熟がうまく進まないと香気成分(3−ヘキセナールなど)が発生します。

品種改良によって、これらの苦味成分が減ったので、トマト嫌いは少なくなったものの、その一方でミネラルが少なくなっているのは事実です。特に減りやすいのはマグネシウム(苦味成分の代表)で、トマトから摂取できるミネラルの代表とされていたのに、それが減ってしまっているということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕