時間塾10 時短の有効性

「タイパ」という言葉がヒットしたのは2021年から2022年のことでした。初期の頃には時短を意味すると紹介されていました。

タイパはタイムパフォーマンスの略で、2022年の「新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれました。また、同年の三省堂の「今年の新語」(辞書に載ってもおかしくない言葉)の大賞にも選ばれています。

タイパは時間的効率のことで、費用対効果を意味するコスパ(コストパフォーマンス)に倣(なら)って作られたもので、費やした時間から得られる見返りや利益を指しています。

実際のところは、映画を倍速で視聴したり、動画を早送りで見ることを意味して使われるようになり、同じ内容のものを見るのであれば、時間が短くて済むほどタイパがよいことになります。

しかし、早く見ると、スピードを上げるほど詳細を注目することができなくなり、理解度も低くなってしまいます。自動車をスピード違反の速度で運転すると、周囲の状況を把握しにくくなって、事故を起こしやすくなるのと同じとの感覚です。

なるべく時間を短くする「時短」は、料理などでは時間をかけたのと同じであれば有効な行為となりますが、味や食感、彩りなどに違いがあって、それが見抜かれてしまう、結果として質が低下するようなことになったら、時短を褒めそやすことはできなくなります。

時短は時間短縮の意味で、同じことをするにも、同じ結果を出すことにもかける時間を短くすることです。手早く済ます、迅速に処理することであって、一つのことだけを短く済ましても、他のことに時間がかかって、結果として全体では効果が上がっていないのではないか、と言われるようなことではいけないはずです。

時短は、フルタイムでの勤労に対して使われることがあって、その場合には所定労働時間を短くする時短勤務という働き方の選択肢として説明されています。

時短勤務もフルタイムも時間単位で見ると均等と対価は変わらないという企業も増えていますが、実際にはフルタイムにするとかかる企業側の費用を減らすために実施されていることがあり、時短の有効性は働く側ではなくて、働かせる側のメリットということも実際には起こっているのです。
〔セカンドステージ連盟 理事長:小林正人〕