食事摂取基準157 ビタミンD7

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から脂溶性ビタミンのビタミンDの欠乏回避の「目安量の策定方法」の続きを紹介します。

〔目安量の策定方法〕
*成人(目安量)の続き
我が国で行われた研究もありますが、その研究数は限られており、北海道と熊本県で20〜69歳の男女を対象として夏期と冬期に行われた観察研究では、夏期でも約半数の者で血清25−ヒドロキシビタミンD濃度は20ng/mLを下回っていました。

また、8日間の秤量食事記録法を用いた全国調査によると、成人(18歳以上)のビタミンD摂取量(中央値)の単純平均は男性7.9μg/日、女性7.0μg/日でした。

骨軟化症の有病率が過小評価されているため、くる病有病率で比較すると、日本は諸外国に比べて、その有病率は低いものの、現在の摂取量では集団の約半数の者で血清25−ヒドロキシビタミンD濃度20ng/mLを維持できず、特定の集団において不足状態を示す者がほとんど観察されない量としての目安量の概念と合致しないと考えられます。

そこで、実現可能性も考慮して、北欧諸国の食事摂取基準における推奨量(10μg/日)と現在の摂取量の中間値を採用することとしました。

ただし、各年齢区分で検討する科学的根拠は乏しいため、それぞれの年齢区分で現在の摂取量の中央値と10μg/日との中間値を算出した後、各年齢区分で算出値の単純平均値を算出しました。

その結果、男性8.9μg/日、女性8.5μg/日となりました。

丸め処理をすると、男性9.0μg/日、女性8.5μg/日となりますが、ビタミンD欠乏のリスクは男性よりも女性のほうが高いことから、男女ともに9.0μg/日としました。

なお、これは目安量であり、推定平均必要量と推奨量とは異なることに留意した上で活用すべきです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕