食事摂取基準164 ビタミンD14

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から脂溶性ビタミンのビタミンDの過剰摂取の回避の「耐容上限量の設定方法」の続きを紹介します。

〔耐容上限量の設定方法〕
*小児(耐容上限量)
小児に関しては、参考とすべき有用な報告が存在しません。

そのため、18〜29歳の値(100μg/日)と乳児の値(25μg/日)の間を、参照体重を用いて体重比から外挿しました。

計算は男女別に行い、その後、それぞれの年齢区分について、男女において数値が少ないほうの値を採用して、男女同じ値としました。
なお、外挿・丸めの結果、乳児より低値となった場合には、乳児と同値を設定しました。

*乳児(耐容上限量)
乳児(13人)に対して出生後6日間にわたって34.5〜54.3μg/日(平均44μg/日)を摂取させ、その後6か月間における成長を観察した結果、成長の遅れは観察されなかったと報告されています。

アメリカ・カナダの食事摂取基準では、この結果を基に、44μg/日を健康被害非発現量と考えています。

そして、研究数が1つであること、追跡期間が短いこと、対象児数が少ないことを理由に不確実性因子を1.8として、24.4μg/日(丸め処理を行って、25μg/日)を耐容上限量としています。

なお、EFSAにおいて、高カルシウム尿症、高カルシウム血症、腎石灰沈着症、発育パターン異常に関する臨床試験や観察研究から得られたエビデンスから、乳幼児の耐容上限量を設定する試みもあるものの、十分なエビデンスは得られておらず、これまでの報告に基づいて設定されています。

また、6〜11か月児に耐容上限量を独自に算定するためのデータもないことから、食事摂取基準においては0〜5か月、6〜11か月ともに25μg/日を耐容上限量としました。

*妊婦・授乳婦(耐容上限量)
妊婦に対して、100μg/日までの介入を行った研究において、高カルシウム血症を含む健康障害を認めなかった報告されています。

また、特に妊婦・授乳婦に高カルシウム血症発症リスクが高いという報告がないことから、妊婦・授乳婦の耐容上限量について、独自の値を設定しないこととしました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕