言い間違い45 念頭に入れる

「念頭」は心の中の思いという意味があり、頭に入れておくということから、「念頭に入れる」という使い方をする人がいます。これは誤用であって、正しい使い方は「念頭に置く」です。

なぜ、誤用をされるようになったのかというと、「頭に入れる」と混同した結果だと考えられています。「頭に入れる」は、大事な事柄を頭の中に入れて、しっかりと記憶していくことを指しています。

「念頭に置く」は、忘れないように常に心がける、常に考えているという意味があって、心の中の「念頭」の位置に置いておくことで、忘れないようにするということです。つまり、念頭に置いたら、それは忘れることがないということになります。

「念頭に入れる」だけだと、出し入れが自由ということになって、忘れることもあります。それでは念頭の本来の意味合いとは違ってしまいます。

「念頭に置く」という正しい使い方を知って、今後は誤用がないことになるのかというと、さらに誤った使われ方がされることがあります。それは「常に念頭に置く」という慣用句です。

「念頭に置く」は、忘れないように常に心がける、常に考えているということなので、その前に「常に」や「いつも」をつけることは、意味を重ねていることになります。

もう一つ注意をしておきたいのは、「念頭」は心の中の思いであって、単に記憶することではありません。記憶は頭の中に入れることであって、本当に入れておきたいのは「思考の中」、「胸の内」です。

そこまで刻み込んだら、絶対に忘れることはないということで、それだけの意識(覚悟)をもって「念頭に置く」という言葉を使うべきです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕