「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から脂溶性ビタミンのビタミンKの欠乏の回避の「目安量の策定方法」の続きを紹介します。
〔目安量の策定方法〕
*小児(目安量)
成人で得られた目安量を基に成長因子を考慮して、体表面積を推定する方法によって外挿しました。
ビタミンK栄養状態が成長期の骨の健康に関連することも示唆されていますが、研究報告は十分ではなく、成人よりもビタミンK摂取量を増やす根拠はないとしています。
したがって、外挿した値が成人の目安量よりも高値の場合は、成人と同値としました。
*乳児(目安量)
ビタミンKは胎盤を通過しにくく、母乳中のビタミンK含量は低くなっています。
加えて乳児では腸内細菌によるビタミンK産生量と供給量が低いと考えられます。
そのため、新生児はビタミンK欠乏に陥りやすくなっています。
出生後数日で起こる新生児メレナ(消化管出血)や約1か月後に起こる特発性乳児ビタミンK欠乏症(頭蓋内出血)が、ビタミンKの不足によって起こることが知られており、臨床領域では出生後直ちにビタミンKの経口投与が行われます。
日本人の母乳中ビタミンK濃度の平均値は、5.17μg/Lと報告されています。
また、糖度の高い測定法でも、フィロキノンが3.771ng/mL、メナキノン-7が1.795ng/mLと、その合計量は前方に近くなっています。
以上より、ここでは、臨床領域におけるビタミンK経口投与が行われていることを前提として、0〜5か月児では、母乳中のビタミンK濃度(5.17μg/L)に基準哺乳量(0.78L/日)を乗じて、目安量を4μg/日としました。
6〜11か月児では、母乳以外の食事からの摂取量も考慮して、目安量を7μg/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






