「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から脂溶性ビタミンのビタミンKの欠乏の回避の「目安量の策定方法」の続きを紹介します。
〔目安量の策定方法〕
*妊婦(目安量)
周産期におけるビタミンKの必要量を検討した報告は乏しいものがあります。
妊娠によって母体のビタミンK必要量が増加したり、母体の血中ビタミンK濃度が変化したりすることは認められていません。
また、妊婦でビタミンKの欠乏症状が現れることもありません。
ビタミンKは胎盤を通過しにくく、このため妊婦のビタミンK摂取が胎児あるいは出生直後の新生児におけるビタミンKの栄養状態に大きく影響することはありません。
したがって、妊婦と非妊婦でビタミンKの必要量に本質的な差異はなく、同年齢の目安量を満たす限り、妊婦におけるビタミンKの不足は想定できません。
以上のことから、妊婦の目安量は非妊娠時の目安量と同様に150μg/日としました。
*授乳婦(目安量)
授乳中には、乳児への影響を考慮して、授乳婦に対するビタミンKの目安量を算出したほうがよいと考えられます。
しかし、授乳婦においてビタミンKが特に不足するという報告が見当たらないため、非授乳時の目安量と150μg/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






