「偉大なるワンパターン」という言葉は、今ではテレビ番組だけでなく、さまざまなシーンでも使われるようになっていますが、その始まりはテレビ時代劇「水戸黄門」(TBS系列)です。
善人と悪人が登場して、その解決に黄門様と助さん、格さんが動いて、最後のシーンで三つ葉葵の印籠を出して、「この紋所が目に入らぬか」のセリフに悪人がひれ伏すというのは、絶対要件のワンパターンです。
初めから見ることができなくても、最後のシーンだけチャンネルを回して(リモコン操作して)、起承転結の“結”を見たら満足するという人もいるくらいです。
「水戸黄門」に限らず、時代劇ドラマは13回ワンクールが原則で、四半期(3か月)に13週分が放送されるのが基本です。
この13回もパターン化されていて、漫遊する道のりは違っていて、主役級以外の登場人物に違いがあっても、13〜15回のパターンで構成されています。その例としては、黄門様の偽物、お供のそっくりさん、仇打ち、嫁姑問題、親子の名乗り、伝統芸、名産の発祥への関わりなどがあげられます。
これに現代の社会問題も時代を移した形でプラスされます。今で言えば米の高騰や古古米、自治体の長(お代官様)の不祥事といったことになります。現在社会では解決できそうもないことを「この紋所が目に入らぬか」で断じて解決するというところが人気の秘密にもなっています。
そのワンクールの台本を渡されて、次のワンクール(13回分)の組み合わせを考えさせられたことがあります。それは書籍のゴーストライターをやっていたときのことで、そのときに書いたものの一部は実際に放送されることになりました。
そのワンクールの内容は、台本を小説のように書き直して「新作水戸黄門」という名の書籍シリーズとなり、これも私が原稿を書くことになりました。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕






