言い間違い47 眉をしかめる

「顰める」と書いて、なんと読むかというと「しかめる」と「ひそめる」の両方の使われ方がされています。ともに「心配事や憂いがあったり、嫌な言動に不快を感じて表情に出すこと」を示すときに使われます。

表情の変化が顔の中で最も出やすいのは眉(まゆ)の動きで、そこで「眉をしかめる」、「眉をひそめる」という使い方がされています。

文化庁の「国語に関する世論調査」では、本来の使い方と誤用の割合を調べていますが、誤用のほうが多いという結果が多くなっています。これは誤用が少ないものは調査対象にすることが少ないということも関係しています。

その「国語に関する世論調査」で、ともに44.5%と同じ割合になったという初めてのことがありました。それは「眉をひそめる」と「眉をしかめる」の調査で、それだけ判別がつきにくい言葉ということです。

調査の質問では、心配や不安を感じて表情に出すこととして、どちらを使うかを聞いていますが、両方とも使う人は3.2%。どちらも使わない人が6.0%、わからないと答えた人が1.8%でした。

誤用は「眉をしかめる」で、これは「顔をしかめる」(不快などから表情をゆがめる)との混同と説明されています。

ということで、「ひそめる」のは眉で、「しかめる」のは顔という使い分けをすべきですが、先に触れたように、ともに漢字では「顰める」となるので、なかなか誤用を認識することも、正しい使い方を普及するのも難しいという、極めて珍しい言い間違い(実際には読み間違い)の例となっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕