テーマとして掲げた「自業苦・業苦楽」は、その字面から「自業自得」と関係していることは簡単に想像がつくかと思います。
「自業自得」というと、自分の行いの報いを自分が受けることで、一般には悪い行いをしたことによって、その結果として悪い報いを受ける場合に使われています。
自業自得の元とされるのは仏教語で、自分のした善悪の行為で、自ら苦楽の結果を招くことを表しています。
これと似た意味の言葉としては「因果応報」がありますが、これも元となっているのは仏教語です。
人は良い行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがあるという意味です。こちらも一般には悪い行いによって悪い報いがある場合に限られて使われています。
しかし、自業自得も因果応報も、良い行いも悪い行いも表しています。
それなのに、良いことをした結果として良いことが起こるという考えが広まっていないのは、よほど悪いことが起こっているのか、良い思いをしていない人が大多数を占めているのか、それとも別のことが起こっているのかとの考えが浮かんできます。
この「自業苦・業苦楽」をテーマとした連載コラムを書くことにしたのは、別のことが起こっているのではないか、ということを考えたからです。原因と対策など探っていくために、実際に“自業”によって苦しんでいる人、苦しみを経験して“楽”な状態となった人について書くとともに、自分にとっての自業苦と業苦楽の経験を書き記して、これを参考にして考える機会が設けられたら嬉しいという感覚があってのことです。
次回(自業苦・業苦楽2)から、自業苦と、自業苦を経験した先にある業苦楽について明らかにしていきますが、前振りとして一つだけ書いておくと、自業苦は「じごく」、業苦楽は「ごくらく」と読みます。
気づかれた方が多いかと思いますが、自業苦は地獄を、業苦楽は極楽を表しています。
〔小林正人〕






