TBSのテレビ時代劇「水戸黄門」の制作チームは、「大岡越前」「江戸を斬る」も手掛けていました。時代劇に限らず、原則はワンクール13回の放送で、その撮影には3〜6か月はかかります。
そのため、時代劇シリーズでつないでいくには最低でも2種類、都合がよいのは3種類のドラマが必要です。そこで、TBSのテレビ時代劇は「水戸黄門」を核にして他の時代劇を入れるという“ワンパターン”となり、これが月曜の午後8時は時代劇という見る側にも生活リズムのワンパターンを植え付けることになりました。
TBSのテレビ時代劇の制作チームについては、前回(金言の真理51)に「水戸黄門」は原作となる小説がない、オリジナル台本だったということを書きました。
「大岡越前」は、吉川英治の同名の長編時代小説があって、映画では原作として使われたものの、テレビ時代劇はオリジナル台本で進めていました。
「江戸を斬る」の原作は時代小説家の陣出達朗ですが、第1部は陣出達朗と葉村彰子の共同の原作となっていました。第2部からは葉村彰子だけが原作として表示されていました。葉村彰子は制作チームの共同ペンネームであったことも前回、書きました。
陣出達朗というと、「遠山の金さん」「伝七捕物帳」の原作者ですが、ちょっとした関わりがあります。それは私が理事を務めていた日本文芸家クラブの始まりは捕物作家クラブで、探偵作家クラブ(現在の日本推理作家協会)が設立されたときに、当時は推理小説と人気を二分していた捕物小説の作家が集まって設立されました。
設立時の主要メンバーは、「銭形平次捕物控」の野村胡堂、「桃太郎侍」の山手樹一郎、そし陣出達朗といった先生方でした。
私が大好きなテレビ時代劇の「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛け人・藤枝梅安」の原作小説を書いた池波正太郎さんは捕物作家クラブの会員ではなかったのですが、後に日本文芸家クラブの理事であった市川久夫さんから紹介してもらいました。
市川さんはテレビドラマのプロデューサーで、テレビ時代劇の「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛け人・藤枝梅安」を世に送り出した敏腕として知られています。
最後に、“ちなみに”という話ですが、「暴れん坊将軍」はテレビ朝日のオリジナル作品で、原作者がいないので、自由に台本を書けたとの話を聞きました。それは悪人の平伏がなくて、「上様とて構わぬ」「かくなる上は」と言って逆らう悪人を斬って捨てるというワンパターンでした。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕






