「幸先が良い」というのは、初めに良いことが起こると全体的にうまくいきそうな感じがする、というのはわかりやすいことですが、その誤用の「幸先が悪い」という言葉は言い間違いであることは理解しやすいところです。
ところが、敷居の高さとなると、判別にくくなってしまいます。
文化庁の「国語に関する世論調査」は、通常は正しい使い方と誤用を並べて、どちらを使うかを調べているのですが、敷居に関しては「敷居が高い」の意味として「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」という伝統的な意味で使う人と「高級すぎたり、上品すぎたりして入りにくい」という意味で使う人を調べています。
ちなみに、前者は42%、後者が46%と、解釈が違ってきていることを示しています。
「敷居が高い」は辞書によって解釈が異なっていて、近寄りにくい、気軽に経験できないという伝統的な意味だけでなく、入りにくいという意味も載せている辞書も増えてきています。
「敷居が低い」というのは、入りやすいという意味になるかもしれません。「ハードルが低い」という言葉は以前から使われていて、それが混同して「敷居が低い」が使われるようになったということです。
そもそも敷居の意味がわかっていない人も増えてきていて、敷居は襖や障子などの建具をはめ込む溝のことです。
敷居そのものは高さがないので物理的に超えるのは簡単ではあっても、部屋を仕切る存在であるので、それを超えることが心理的なプレッシャーになっている人には高い存在と感じてしまいます。
その敷居が低くなることはないので、お題の「敷居が低い」というのが誤用だということがわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






