「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンのビタミンB₂の欠乏症の回避の「推定平均必要量、推奨量の策定方法」の後半を紹介します。
〔推定平均必要量、推奨量の策定方法〕
*妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
妊婦の付加量を要因加算法で算定するデータはありません。
そのため、ビタミンB₂がエネルギー必要量に応じて増大するという代謝特性から算定しました。
すなわち、妊娠によるエネルギー付加量(身体活動レベル「ふつう」の初期の+50kcal/日、中期の+250kcal/日、後期の+450kcal/日)に推定平均必要量算定の参照値(0.50mg/1000kcal)を乗じると、初期は0.03mg/日、中期は0.13mg/日、後期は0.23mg/日となります。
これらの算定値は、あくまでも妊婦のエネルギー要求量の増大に基づいた数値ですが、妊娠期のエネルギー必要量には大きな個人差が認められます。
妊娠期は特に代謝が亢進される時期であることから、妊娠後期で算定された値を全妊娠期の必要量としました。
具体的には、妊婦の推定平均必要量の付加量は、妊娠後期のエネルギー要求量の増大から算定された0.23mg/日を丸め処理した0.2mg/日としました。
*授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
授乳婦の推定平均必要量の付加量は、母乳中のビタミンB₂濃度(0.40mg/L)に0〜5か月の乳児の基準哺乳量(0.78L/日)を乗じて、相対生体利用率60%を考慮して算出(0.40mg/L×0.78L/日÷0.6)とすると、0.52mg/日となり、丸め処理を行って0.5mg/日としました。
推奨量の付加量は、丸める前の推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数1.2を乗じると0.62mg/日となり、これに丸め処理を行って0.6mg/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






