「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンのナイアシンの基本事項の「定義と分類」を紹介します。
〔定義と分類〕
ナイアシンとは、狭義ではニコチン酸とニコチンアミドを指しており、広義ではナイアシン活性をする化合物の総称です。
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)とニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)が補酵素として機能します。
通常の食品には、ニコチン酸とニコチンアミドのほかに、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)とニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)の形態でも存在します。
いずれも消化管でニコチンアミドに消化された後に、体内に取り込まれるため、ナイアシンと等モルの活性を示します。
ナイアシンは食品からの摂取以外に、生体内でトリプトファンからも合成されます。
ニコチンアミドとニコチン酸の総量であるナイアシン量と、体内でトリプトファンから生合成されるナイアシン量との合計をナイアシン当量といいます。
トリプトファンのナイアシンとしての活性が重量比で1/60であるので、ナイアシン当量は以下の式から求められます。
「ナイアシン当量(mgNE)=ナイアシン(mg)+1/60トリプトファン(mg)」
食事摂取基準はナイアシン当量(niacin equivalent:NE)という単位を用いて設定しました。
日本食品標準成分表(七訂)に従って、食事摂取基準の数値をニコチン酸相当量として示しました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






