負の歴史20 抹茶のブランド定義

抹茶は世界的に人気となっていて、茶葉の価格も高いことから、これまでの煎茶の栽培を抹茶に切り替えようという茶葉農家、生産地域も増えています。

抹茶は栽培途中で日光を遮って育てた碾茶(てんちゃ)を石臼で粉末にしたものです。煎茶は日光を浴びて育った茶葉を蒸して揉んで針状に完成させたものです。茶葉の種類としては同じとされていますが、実際は茶葉によって差があって、高級とされるものが碾茶に使われます。

煎茶の製造過程で蒸すのは酵素の働きを止めるためで、これによって緑色が保たれます。発酵が進むと烏龍茶や紅茶の茶葉と同じ状態になります。

茶葉の種類が同じということになると、抹茶は産地と加工技術が重要となるわけですが、抹茶のブランドといえば京都の宇治(うじ)が世界に知られています。

宇治抹茶と表記できるものは要件が定められていて、京都府内の業者が京都府内で仕上げ加工をしたものが絶対条件です。「宇治市内の業者」の書き間違いではなくて、京都府内の業者とされています。

京都府内といっても、以前は宇治市と、宇治市の周辺に限られていました。市町村の境は茶葉の栽培地や加工地によって線引きされたわけではないので、宇治市内でなくても宇治抹茶が製造されていても違和感はありません。

栽培地が拡大していくにつれて、宇治市の周辺だけというわけにはいかなくなりました。そこで京都府内であればよいことになったわけですが、京都府は太平洋側から日本海側まで、かなりの範囲に広がっています。

「京都府内の業者が京都府内で仕上げ加工をしたもの」という定義だと、会社は京都府内にあって、茶葉の栽培地は他の地域であっても仕上げ加工だけ京都府内で行われていればよいのかということですが、それが事実です。

どの範囲で栽培されていればよいかということですが、大抵は宇治茶の定義に当てはまる地域です。

宇治茶の定義については次回(負の歴史21)に続きます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕